コロナの影響で住宅ローンの支払に困っている方は個人民事再生の利用の検討を。

コロナウィルスの影響により、収入が減り、借り入れの返済ができない、住宅ローンの支払が滞ってしまったという方もいらっしゃると思います。昨日のNHKクローズアップ現代でも、こうした状況にある方を取材した内容が放送されていました。

http://www.nhk.or.jp/gendai/articles/4412/index.html

借金等の返済ができなくなった方については、自己破産などの法的手続を利用して、借金を清算することが可能なことは広く知られてきていると思います。ただ、自己破産の場合、借金等の清算は可能でも、自宅等を手放すことを余儀なくされます。

また、自宅を売却すればローンが(それほどは)残らないという場合には、相談した不動産業の方などから自宅売却をすすめられるということもあり、また、そうした方法がテレビ番組やネット上の記事などで紹介されているのを見ることもあります。

しかし、そうした方法の前に、まず検討すべき、自宅を手放すことを回避する方法として、個人民事再生(住宅ローン特則付)という制度があることをご存じでしょうか。

【個人民事再生手続について】

個人民事再生手続を利用した負債整理の概要を簡単にご説明すると(なお、説明の便宜上、例外的なもの等についての説明は省きます。制度の詳細は弁護士への相談などで確認されてください。)、

・借金等の負債額合計が500万円未満の場合は100万円に減額、

・負債額合計が500万円から1500万円未満の場合は5分の1に減額(仮に、負債額合計が1000万円の場合は200万円に減額。)、

・負債額合計が1500万円から3000万円の場合は300万円に減額、

・負債額合計が3000万円から5000万円までの場合はその10分の1の額に減額(仮に、負債額が4000万円の場合は400万円に減額。)するというものです。

そして、この減額後の金額は、原則として3年間(例外として5年間まで延長可)で返済できればよいのです。この個人再生という制度は、東日本大震災の際にも、法務省が借金の返済が困難になった被災者に利用を促していました。

http://www.moj.go.jp/MINJI/minji07_00097.html

【個人民事再生手続(住宅ローン特則付)について】

この個人民事再生手続には、住宅ローン特則付というものがあり、キャッシング、ショッピングローンなど住宅ローン以外の負債を上記のように減額した上で、住宅ローンの返済を継続できれば、自宅を手放すことを回避できます。 「住宅ローン以外の負債を大幅に減額できれば、住宅ローンの返済はなんとかやっていける。」という方であれば、この制度が有用です。

この法制度は平成13年4月に施行されたもので、我々も、施行から間もない頃から、個人民事再生手続を利用して、自宅を手放さずに済んだ多くの相談者を見てきました。

こうした問題に直面されている方は、個人民事再生手続(住宅ローン特則付)を利用してこの危機を乗り越えられないか、弁護士に相談することを検討されてみてください。