医療法人の出資持分払戻

1 出資持分払戻とは

(1)出資持分とは

(㊟平成19年4月の第5次医療法改正より前に設立された医療法人の場合)

医療法人の社員の中で、出資を行った社員は、医療法人に対する持分を有しています。医療法人の所有者と言っていいと思います。民間の会社で言えば、株主と似ています。

医療法人の開設者などは、民間の中小企業の社長がそうであるように、通常、自らが出資して、医療法人を開設しますので、この持分の多くを有しています。

そして、出資持分を有する医療法人の社員(開設者など)が、その後、努力なさって医療法人の財産を増やせば増やすほど、この出資持分の価値も高くなります。株(株式)と同様です。

(2)出資持分払戻とは

出資持分の内容は上述したとおりですが、出資持分を有する医療法人の社員が、社員でなくなった場合(例えば、退社)は、医療法人に対する出資持分の払戻請求権が認められます(但し、平成19年4月の第5次医療法改正より前に設立された医療法人の場合)。

また、仮に、こうした出資持分を有する社員(開設者など)が死亡した場合は、社員の地位は消滅するのですが、出資持分の払戻請求権は、相続人に相続されます。

2 出資持分払戻請求を巡る問題

出資持分払戻請求は、出資持分を有する医療法人の社員が死亡し、相続が生じた場合に問題となることが典型的なので、例をあげてご説明致します。

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理事長が亡くなった!

例えば、30年前に医療法人を開設し、100%の出資持分を有する理事長Aが亡くなったとします。そして、相続人として、Aの妻で医療法人の理事でもあるB、Aから医業を託された医師で医療法人の理事である子C、結婚し医療法人の運営には全く関わらなかった子Dがいたとします。

医療法人の運営に関わらないDも相続

そして、Aの遺言書は作成されていませんでした。したがって、相続分はBが1/2、Cが1/4、Dが1/4となり、その割合で、Aが有していた、医療法人に対する出資持分払戻請求権を相続します。

BとCは、これまでどおり医療法人を運営していく必要があるので、新たに医療法人の社員となって(出資金の支払と持分払戻請求権を相殺)、Bが1/2、Cが1/4の出資持分を有することになりました。

妹から1億円の請求!

ところが、Dは、自分は医療法人の運営に関わるつもりはないので、BとCがその運営を引き継いだ医療法人に対し、出資の払戻請求権を行使し、金員の支払を要求してきました。

そして、A死亡時の医療法人の資産は、30年前にAが医療法人開設のために出資した1000万円から、4億円まで増えており、Dの持分である1/4に相当する額も1億円になっていました。Dに1億円も支払ってしまうと、医療法人の運営が立ちゆかなくなってしまうので、その対応に窮する事態となってしまいました。

3 ご相談者、依頼者のためにできること。

(1) 上記の例のAさん、Bさん、Cさんより事前にご相談頂ければ、医療法人の定款変更により、こうした問題を回避する措置を検討できたと思います。
(2) 他方、Dさんより、ご相談を頂いた場合には、医療法人の持分の評価の検討等をさせて頂くこととなるかと思います。

いずれにしても、医療法や相続法に関する法律問題を伴う問題ですから、法律の専門家であり、こうした問題の解決について経験・実績のある弁護士にご相談頂きたいと思います。

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