医療費の未払金の回収

1 医療費の未収金は放置してはいけません。

医療費の未払金は、1件1件は多額でないことが多いとしても、これが累積すれば決して見過ごせない金額に膨れあがるため、医療関係者にとっては頭の痛い問題であると思います。
また、医療費の未払金は、これを放ったままにしていると、時効にかかり、その回収が困難ないし不可能になってしまいます。未払金の消滅時効の期間は3年です(民法170条)。
したがって、これを放置することはできません。

2 滞納の原因

患者が医療費を滞納する原因としては、
・経済的な困窮
・住所変更などにより連絡が届かない。
・医師・職員の対応や治療に対し不満を抱いている。
などです。

いずれも、医療費を滞納する理由になるものではないのですが、相手のこうした状況の差異によって、回収の対策・方法も異なることになります。

3 対策と回収方法

(1)内容証明郵便、電話による督促など

まずは、いずれの場合にも共通する方法としては、内容証明郵便を発送したり、電話を掛けて督促を行う方法です。いずれの方法も弁護士名をもって行いますし、支払をしない場合は法的措置をとる旨の警告も含んでいますので、一般の方が行う内容証明郵便や電話よりも、相手に対する効果はあります。

また、相手の住所が不明であれば、その調査を行うことも必要になります。

ただ、内容証明郵便や電話では、相手に対する強制力はありませんので、相手がこれに応じない場合は、次の法的措置を講じることとなります。

(2)交渉、示談、即決和解、裁判、差押(強制執行)など

連絡がとれるのであれば、まずは、相手と交渉を行います。

そして、仮に、相手が経済的な困窮が理由で支払をできない場合は、その調査をした上で、どうしても一括支払いが不可能と判断されれば、分割払いの示談や、簡易裁判所での即決和解(判決と同じ法的効力があります。)により、分割払いを行わせることとなります。

他方、相手が経済的に困窮していないにもかかわらず、医療費を支払わない場合は、裁判(訴訟)を起こして判決をとります。場合によっては、判決まで至らず、訴訟手続内で和解が成立することもあります。

そして、それでも相手が支払をしない場合は、強制執行により、相手の財産(預金、給料、不動産、動産など)に対する差し押さえを行います。

なお、債権回収方法の詳細については、こちらをご覧下さい。

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